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きつかわクリニックでは手術以外の治療を希望されて、ご来院される患者さんが多いです。実際、当院では手術以外の切らない治療（保存的療法）に力を入れており、保存的療法の種類の多さと質に於いては、東京都内では数少ない泌尿器科クリニックと自負しております。
しかしながら、保存的治療のみでは良くならない患者さんも多数いらっしゃることも事実です。当院では保存的治療ではご本人が望むような効果が得られない場合など手術が治療選択肢として適切と考えられる患者さんには手術療法が可能な施設をご紹介しています。患者さんのご希望の医療機関がございましたら、ご希望の施設にご紹介致します。また、当院で外来を担当している医師が入院手術可能な施設でも勤務しおり、同施設にご紹介することも可能です。

TVT手術、TOT手術

どちらの手術も公的医療保険適応の手術となります。民間の医療保険に加入されている患者さんは、加入されている保険内容・加入時期にもよりますが、保障が受けられることが多いです。多くの施設では1泊2日入院ですが、数日の入院から1週間程度入院を要する施設もあるようです。以下は当院で外来を担当している医師が手術を行っている施設（四谷メディカルキューブ）の情報を中心にご説明します。
手術は全身麻酔または下半身の麻酔で行い、10分程度の手術時間で終わる手術です。麻酔をはじめ、手術の準備や麻酔をさます時間なども考慮し、約40分間手術室で過ごすことになります。
くしゃみや咳、運動負荷時など腹圧がかかった時に尿が漏れないように、尿道を支えるような、人工材料で作られたメッシュテープを挿入します。お腹を大きく切るような手術ではなく、腟内と恥骨上または足の付け根にごく小さなキズで済みます。
TVT手術は、尿道を支えるテープが恥骨の裏を通り、おなかの筋肉で固定されるように配置され、TOT手術は、尿道を支えるテープが足の付け根に向かって配置されます。TVT手術、TOT手術で効果の差はないとされていますが、一部の重度の尿失禁でTVT手術のほうが効果が高いという報告もあります。尿失禁の重症度や、腹部の手術歴などでTVT手術かTOT手術かを選択します。
術直後、手術室から出る際は尿の管をいれて、膀胱・尿道を安静にしますが、翌朝には管を抜き、自力で排尿できることを確認し退院となります。
退院後は、配置されたテープが安定するまでの期間である約6週間、腹圧のかからない生活を行う必要があります。排便時に強くいきまないように下剤を処方したり、軽い物しか持たないような生活をしていただいたり、走ったり、自転車をこぐような動作は避けていただきます。ですので、スーパーで重いものを持って帰るような買い物はご家族にお願いしたり、宅配してもらったりなど、入院前に術後6週間の生活にむけた準備が必要になります。重いものは持てませんが、ウォーキングは可能で、ご高齢の方は決して寝たきりにならないよう、適度な運動は心がけていただきます。また、お仕事されている方はデスクワークなど、お腹に力が入らない仕事内容であれば通勤も可能です。運転も問題ありません。
術後6週間の生活制限があるため、抱っこや自転車で幼稚園・保育園の送り迎えをするような小さなお子さんがいらっしゃる方は、ご家族の全面協力が必要になります。お子さんの抱っこ、自転車送迎が不要になるくらいの年齢になるまでは手術ではなく保存的療法で経過をみる患者さんが多いです。また、今後出産を考えている方も、出産が終わるまでは手術ではなく保存的療法でみていただくことになります。
また、同様にご家族の介護やお孫さんをみたり力仕事をされている方は、術後6週間他のご家族の協力が得られるか調整が必要になります。
術後6週間経過すれば、元の生活に戻れ、マラソン・ジョギングなどの運動もしていただいても構いません。

筋膜スリング手術

手術で人工材料のテープを体内に入れるのに抵抗がある方やお持ちの病気のために人工材料のテープが使用できない方には、自身のお腹や太ももの筋肉を包む膜（筋膜）をテープ代わりに使用する筋膜スリング手術という方法もあります。
こちらの手術は実施可能な施設が限られているため、ご希望の患者さんはこちらから紹介先をご提案させていただきます。

きつかわクリニック　泌尿器科専門医　藤﨑章子

2022年3月作成　2022年3月16日最終更新