性器ヘルペス

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性器ヘルペスはウイルスによって引き起こされる病気です。一般的な性感染症のひとつで、男性では淋菌感染症、性器クラミジア感染症に次いで、女性では性器クラミジア感染症の次に多いとされています。
性器ヘルペスは「Genital Herpes」の頭文字を取って「GH」と呼ばれることもあります。原因のウイルスを完全に死滅させることができないので、症状を抑えることが大切になります。ヘルペスは性感染症の一つで、基本的な対策をまもればコントロール出来る病気とされています。

GH(性器ヘルペス）の原因

GHは単純ペルペスウイルスが原因で起こる性感染症です。1型と2型があり、幼児期に感染し口内炎などの症状を起こすのが1型、2型は性器を中心に下半身に発症するとされています。近年では性器ヘルペスでも1型、2型とも見られます。
性器ヘルペスの発症の男性で30～40歳代、女性では20～30歳代で、女性では10歳代後半からみられるとも言われています。

GH(性器ヘルペス）は気づかない？

単純ヘルペス2型にかかったことのある人で症状を自覚している人は20％程度と少なく、残りの60％の人は何らかの症状があっても本人は気づいていないとも言われています。あとで、症状などの説明を詳しく聞き、初めて、自分で気づいていなかった症状を認識することも多いようです。また、20％の人が無症状で経過するともいわれています。気付かないままでいるため、性行為を通しうつしてしまうこともあります。

GH(性器ヘルペス)の感染経路

性器ヘルペスは接触感染でうつり、パートナーの性器にできたヘルペス(2型)が原因となることや、オーラルセックスなどでパートナーの口唇にできたヘルペス(I型）が原因となることもあります。
また、症状のでていないパートナーから感染することもおおくその割合は70％ともいわれています。
症状の出ていない場合、ウイルスは体内に潜んでいますが、唾液や膣分泌液、性器や尿道などの皮膚・粘膜に存在する場合があり、パートナーの抵抗力が低下していると感染することもあります。

GH(性器ヘルペス）初感染と再発について

単純ヘルペスに初めてかかることを初感染といい、皮膚や粘膜の小さな傷から体内に侵入した単純ヘルペスウイルスは、神経を伝って体の奥深くの神経節に潜みます。何らかの刺激で再度活動をはじめ、神経をつたって皮膚や粘膜にでて症状を引き起こした場合を再発と呼んでいます。
初感染の時の症状はひどく、再発時の症状は軽いのが一般的です。

GH(性器ヘルペス）初感染の症状

単純ヘルペスに初めて感染した場合、比較的強い症状がでます。性器や肛門周囲にかゆみや不快感があり、刺激をともない赤くなります。その後、小さな水ぶくれ（水疱）ができて、潰れて潰瘍になり痛みを伴います。頭痛や38度を超える発熱を伴うこともあります。
男性より女性の方が症状が強く、尿を出せない場合もあります。一方で、感染しても症状がでないひともいます。
自然に経過をみると発症から4-5日で熱初とだるさが軽減し、局部の潰瘍やびらんは2週間程度で軽快し、リンパ節のはれも3週間程度で軽快すると言われています。

GH(性器ヘルペス）再発の症状

性器ヘルペス初回感染で症状が改善しても、しばらくたってからまた、外陰部や性器に病変が出現することが度々あります。
再発の場合は比較的軽症で、強い痛みを伴わない小さな潰瘍や水疱が数個できる程度です。ひどい場合は腰痛や頭痛を伴う場合もあります。再発の前には神経痛のような症状や局所に違和感（ムズムズ感・ヒリヒリ感）を感じる人もいます。 再発のきっかけとなるのは、感冒や疲労、外傷や胃腸炎、飲酒や月経、紫外線などが誘引として挙げられます。抵抗力の低下、局所の傷などの肉体的要因と長時間のストレスや不安などの精神的要因が考えられています。
再発を繰り返しやす病気で、2型に感染した場合は1年以内に8割の人が再発するとも言われています。再発の頻度は、1年に1度程度のひともいれば毎月再発するひとなど様々です。

GH(性器ヘルペス）の診断

当院では男性の診察を行っております。ただし肛門周囲やお尻に症状が出ている場合は皮膚科や肛門科あるいは性病科での受診をお願いしています。
性器ヘルペスの場合は水疱や潰瘍、かゆみ等の典型的な皮膚症状があり、神経刺激症状を伴うことが多いので、性器ヘルペスを多く治療している医師であれば患部の視診と簡単な問診程度で診断は比較的早く判断が付きますが、初発の場合はである程度の大きさの潰瘍がある場合は、症状が出ている部分からウィルスを採取し、調べることで性器ヘルペスの診断が確定出ます。

再発を繰り返す場合や、臨床的に確定診断がついていない場合は採血を行ない、血液中の抗体を調べる方法があります。ただし検査の限界（感度60-98％）があり偽陰性となる場合や水ぼうそうの既往歴が陽性になる（疑陽性）問題があります。また、現在の感染と過去の感染既往の区別が出来ない問題点があります。きつかわクリニックでは経過により採血でのチェックをおすすめする場合があります。

GH(性器ヘルペス）の治療

性器ヘルペスは、皮膚の病気ではなく神経へのウイルス感染が原因です。そのため皮膚に塗る軟膏で治療するのではなく、抗ウイルス薬の内服にて全身の治療を行なう必要があります。初回感染の時は、5日間内服薬を服用し、その後の症状の状態でさらに5日間内服を行なう事があります。
再発の場合も軽症であっても内服薬の服用を推奨しています。積極的に抗ウイルス薬の内服をすることで再発や無症候性排泄を押さえることが目的です。もちろん皮膚の痛みを緩和する目的で、保護剤として外用薬（軟膏）も併用します。痛みが激しく、尿が出せない場合や座っていることもやっとといったひどい症状の場合は、点滴による治療も考慮されています。この場合は、医療連携を通して提携の入院施設に御案内させて頂くこともあります。

GH(性器ヘルペス）の日常生活の注意点

性器ヘルペスを繰り返す再発に悩んでいることがおおく、パートナーが子供に感染させないか不安を感じ精神的に大きな苦痛を抱えているかたもいます。しかし精神的な不安がストレスとなり再発のきっかけになる場合もあり、バランスの取れた食事や十分な睡眠、適度な運動を心がけ日頃からストレスを避けた健康的な生活を送るようにしましょう。
パートナーに症状が出ている間は、感染のリスクが高ので性交渉は控えましょう。また、器物を介しての感染することもありタオルの共用などは避けましょう。また性器を触った手で目をこすって角膜炎を起こすこともありますから十分に注意しましょう。

GH(性器ヘルペス）の予防方法

コンドームの使用により感染のリスクを減らすことができます。コンドームは自身の感染のリスクを減らすのみではなく、パートナーへの思いやりに繋がります。

GH(性器ヘルペス）の再発予防プログラム

性器ヘルペスは再発を繰り返す病気で、ひどい場合は毎月のように再発が起こります。年間6回以上の再発を起こす場合は、再発予防治療が保険適応となります。抗ウイルス薬を毎日1錠内服します。つまりこの治療は、１年間かけて再発症状を抑制し、体内のウイルスを減らし、ウイルスの活性も抑制します。全く再発しない訳ではありませんが、再発した場合も治療期間が短く済み、症状も軽く済む場合が殆どです。
1年間の内服終了後は経過観察をなりますが、再発回数も減る患者さんが多いです。また、数ヶ月間経過観察をして再発を繰り返す場合には２回目以降の治療を行うこともできます。

きつかわクリニック　泌尿器科専門医　吉川慎一

2018年2月28日作成 最終更新 2022年12月5日